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2023.12.21

eスポーツビジネス

【ASUS JAPAN×OBC 産学連携】東京ゲームショウ職場体験2023レポート

OBC eスポーツビジネスビジネス学科では、昨年に続き今年もASUS JAPANとの産学連携で、東京ゲームショウ2023の職場体験を実施しました!
今回、ASUS JAPANから取材を受けましたので、その内容をお知らせしますね!

<以下、ASUS JAPAN取材レポート>

「東京ゲームショウ2023」ASUS ROGブースで職業体験!
「苦労も楽しみ」岡山ビジネスカレッジ eスポーツビシネス学科にインタビュー

 

2023年9月21~24日の4日間、4年ぶりに幕張メッセ全館で開催されたゲームの祭典「東京ゲームショウ(TGS)2023」を、岡山ビジネスカレッジ eスポーツビジネス学科の学生が訪れた。TGSへの訪問というと、各社のブースを見て回って、最新のゲームやデバイスを試して、イベントに参加して、といった流れを想像するが、今回訪れた学生たちはただの来場者ではない。目的はズバリ、ASUS JAPANブースでの職業体験だ。

 

ASUS JAPANがリードする本取り組みは今回で2回目。そもそも2年前に岡山ビジネスカレッジ eスポーツビジネス学科がオープンする際、すべてのデバイスをASUSで揃えていた縁から1回目の話が持ち上った。ASUSはデバイスの提供だけでなく、展示会での作業やイベントの雰囲気を体験すれば、学生たちの将来やりたいことや目標の解像度が上がるのではないかと考え提案。岡山ビジネスカレッジも貴重なチャンスとして、1回目の職業体験が実現した。

 

第2回は、職業体験を目的にしている入学志望者も現れるほど1回目が反響を呼んだため、実施を決定した。参加したのは、髙木一志さん(岡山県美作高校 出身)、築山鳳斗さん(関西高校 出身)、片山義斗さん(岡山県立邑久高校 出身)、そして教員の佐倉悠太さんの4名。多くの応募者のなかから厳正なる書類審査と面接を経て、TGSという日本最大級のeスポーツ・ゲームビジネスの現場を体験した3人に、参加目的や感想を伺った。

 

あふれる“やる気”と“恩返し”

── 皆さんは志願して、審査を通過して参加する権利を獲得したとうかがいました。どのような審査だったのでしょうか。

 

佐倉先生

まず参加者を募る段階で志望動機などのアンケートを取りました。応募してきたのは10名ほど。その後、一人ずつ面接を行って、東京ゲームショウへの意気込みや、やる気、モチベーションをしっかり確認したうえで選抜したメンバーです。

 

 

── 厳しい審査を通過して参加したということは、かなりモチベーションが高いということですね。そんな皆さんの志望動機を教えてください。

 

片山さん

私たちの学科はeスポーツでビジネスをしようという学科です。自分はこの先eスポーツ業界で働くのだから、現場の経験は積んでおきたいと考えて志願しました。職業体験は裏方の作業などいろんなものを間近でみて、体験することができるので貴重な機会です。私は東京ゲームショウ自体2回目なのですが、前回は一般公開日に一般参加者として参加しました。今回はビジネスデーなので、企業同士のやりとりの現場なども見てみたいと思っています。

 

髙木さん

3~4年前にフォートナイトでプロゲーマーをしていた頃から東京ゲームショウに興味を持っていました。小さい頃からテレビなどでは見ていたのに、一度も行ったことが無かったので、この機会に行ってみたいと思い応募しました。もう一つ、ASUSのデバイスをいつも学校で使わせてもらっているので、その恩返しがしたいと思って来ました。

 

築山さん

私は将来、eスポーツ関係、とくにeスポーツイベント関係で起業して、自分の会社を持ちたいと思っています。それに向けて、こんないい機会はないと思って志望しました。実際に参加して、会社が実施するイベントではどういうことをしているのか、体験することができています。また、ビジネスデーは商談の場でもあるので、間近で見ることができるのはいい経験だと思います。

 

 

── 厳正な審査を通過したのも納得できる熱の高さを感じますね。期待とともに参加した職業体験では、どのような作業を担当しているのでしょうか。

 

築山さん

来場された方に配布するバッグの準備と、配布するのが主でした。ホールの外にある事務所でASUSに関する案内とノベルティをバッグに入れて、完成品をブースに持っていき、ブースでバッグを配布しました。日によって作業量が変わるのですが、一日4~5時間。9時スタートの日は14時まで、14時スタートのときは終了まで、といったスケジュールです。空いた時間は自由時間で、会場を見て回りました。

 

── 実際にイベントに関する作業を担当してみての感想を教えてください。

 

髙木さん

配布しているときには、けっこう受け取ってくれるんだな、という印象を受けました。事務所での裏方作業の際には、バッグにはいろいろ入れなければいけないので、最初は大変な作業だと思いましたが、必死に作業をしていたらあっという間に時間が経っていました。夢中になれたので楽しかったです。

 

 作業しながら、工夫もしました。大きい順にバッグに入れるなど効率的な手順に改善していき、動きも洗練されてきて、今では最初に比べて素早くつくることができるようになりました。

 

築山さん

私が担当したのは、段ボール箱からセッティング前のバッグを取り出したり、完成したバッグを事務所からブースに運んだりする力仕事です。みんながつくったものを受け取っている方でした。

 

時間と手間をかけてバッグをつくる様子を間近で見ていたのですが、渡すときは一瞬で少し切なかったです。なので、受け取った人の印象に少しでも残すために、自分が渡すときに何ができるのかを考えました。実際にやったのは、中に入っているものの案内です。自分たちが作ったものをしっかり渡そうという気持ちもありますが、バッグを配ることによってASUSの役に立てると考えてやっていました。

 

 また、ASUSスタッフの動き方や、現場における人員の采配、チームの動きが参考になりました。みなさん、朝礼や声掛けなど、雰囲気をつくるのが上手だと思いました。

 

片山さん

私は開封や運搬、バッグづくりと、どちらの作業も担当しました。作業を通して、効率化も大切ですが、正確さや丁寧さも大切だとわかりました。ノベルティーが一つ抜けているだけで伝わらないこともあるので、気を付けました。また、築山さんも言っていましたが、チーム全体の動き方を間近で見ることができて勉強になりました。

 

 

── 体験を通しての学びや気付きがあったということですね。佐倉先生も作業に参加されていましたが、生徒の様子を見ていて気が付いたことや驚いたことなどありますか。

 

佐倉先生

皆さんそれぞれ自身に得意・不得意があることを理解して、力仕事が得意、単純作業が得意など、自主的に役割分担を決めていた点はよかったです。私も作業に参加していたので、一緒に効率的に作業できるように、袋に入れるものの配置を考えて袋に入れるなど工夫していました。

 

「苦労も楽しみ」

── 自主的に役割分担ができるのは、普段のeスポーツでもロールを意識して立ち回っているからでしょうか。それぞれ大変な作業かもしれませんが、職業体験で楽しかったことや嬉しかったことがあれば教えてください。

 

片山さん

バッグを配布していると、ブースの前を素通りしていく方もたくさん見ます。でも、そのなかでも一回通り過ぎたあとに戻ってきてバッグを受け取ってくださる方がいるんです。そうしたことがあると嬉しくなります。

 

築山さん

ブース前はメインの動線で人通りがすごく多いんです。バッグをもらいに来る方も多く、1人来たら一気に10人くらい来ることも珍しくありません。そういった方々がみんな嬉しそうにバッグを受け取ってくださるのが嬉しいです。相手が笑顔だったら、自分の接している態度も大丈夫だったんだと安心できます。

 

髙木さん

バッグを受け取ってくださることはもちろんですが、受け取ってくださったあとに、ブースの中を見てくれたりしたら、配ったからこそ興味をもってくれたのかな、と考えて嬉しくなります。

 

 

── 自らの仕事が何かの役に立っていたり、誰かを笑顔にできたりしたら嬉しくなる気持ちはよくわかります。配布する際には緊張などはなかったのでしょうか。

 

髙木さん

コンビニでアルバイトをしていて、普段から幅広い客層の方とコミュニケーションをとっているので苦労はありませんでした。

 

築山さん

私も飲食店でのアルバイトを4年ほど続けているので、いつもとあまり変わりません。イベント関係のアルバイトをさせていただいたこともあり、ビデオ関係の仕事や、試合の解説キャスターも務めたことがあるので、人前に出るのは得意です。

 

片山さん

カラオケ店でアルバイトしているので接客には慣れています。なので、配布するのは問題ありません。

 

 

── 大変、心強いですね。ほかに、立ち作業が続くことや慣れない環境での作業など、困ったことや悩みはありますか。

 

一同

……(沈黙)

 

髙木さん

考えてみても特にないですね。

 

築山さん

苦労自体も楽しみになっています。

 

片山さん

苦労よりも楽しいが勝っていると思います。貴重な体験ができているので、苦労は感じません。

 

 

──理想的な職場ですね。

 

築山さん

あと、これは嬉しいことなのですが、著名な方が目の前を通りかかるのは貴重な体験です。岡山にいてもなかなか体験できません。東京ゲームショウならではの出来事です。

 

 

── 東京ゲームショウでは各企業がさまざまなイベントを各所で開催していて、そこに登壇する著名人や遊びに来たインフルエンサーが行きかっていますから、イベント会場以外でも誰かいないか思わず探してしまいますね。皆さんが普段から応援している方はいらっしゃいますか。

 

築山さん

忍ismのあばだんごさんです。7年くらい推しています。今日(取材日の9月23日)も会場に来ているみたいなので、できれば会いたいです。

 

片山さん

最近はよくVALORANTをプレーしているので、Lazさんとyueさんを推しています。X(旧Twitter)を見たら来場しているようなので、自由時間に会いに行きたいです。

 

髙木さん

大体の配信者を知っているので、誰でも会えたら嬉しいです。さまざまなゲームタイトルをプレーするんですが、プレーしながら動画も観るので、ほかの人より圧倒的に長い時間視聴していると思います。

 

この先もeスポーツに関わっていく

── 今回は職業体験ということで企業のイベント出展について学んでいるところですが、普段はどのようなことを学んでいるのでしょうか。

 

 

築山さん

社会に出たときに必要なスキルが主です。WordやExcel、希望すればITパスポート取得に向けた授業、ゲームをプレーする際に必要なコミュニケーションツールとしての英会話、動画編集、イベント企画、ビジネスマナー、SNSなどの勉強をしています。

 

高山さん

ほかにも、課題解決型のグループワーク、PhotoshopをはじめとしたAdobe系のソフトは大体勉強しています。

 

築山さん

何をしようとしても、どのような道に進んでも大丈夫なカリキュラムが組まれています。

 

 

── まだ皆さん1年生ということですが、授業や職業体験を通して将来やりたいことや夢が少し見えてきたなど、何か変化はありますか。

 

髙木さん

eスポーツやゲームに関わっていきたいと考えていますが、まだ何をしたいのか、明確には決まっていません。何をしたいのかを探るために、この学校に来ました。

 

築山さん

eスポーツのイベントを企画できればと思っています。イベントの主体になる、あるいはそれを支える企業をつくりたいです。選手の活躍の場をつくったり、ファンの人に楽しんでもらえたりする会社をつくっていきます。

 

片山さん

よく動画編集をしていたので、そこを伸ばそうと思います。また、もともと日の目を浴びるところではなく、縁の下の力持ち、今回のような裏方の作業が好きだったので、そのどちらかで迷っています。裏方としては、選手のマネージャーや、イベント系の裏方の作業などもやりたいです。

 

 

── eスポーツビジネス学科に入って学んだうえでeスポーツに関わっていきたいということは、夢に向かって着実に進んでいるということですね。佐倉さんはすでに先生として働いていらっしゃいますが、現職に就いた経緯を教えてください。

 

佐倉先生

もともと、このポジションには弟(赤バフ=佐倉涼太さん)がいました。でも、彼がイベントに関わる仕事に移るということで、私に声がかかりました。私はNASEF JAPANで全国200校ほどの高校に対してリーグ・オブ・レジェンド(LoL)初心者向けの講習を行っていたほか、岡山共生高等学校でもOBとして自分が立ち上げたeスポーツ部でLoLを教えていたので、そのつながりで教師として教えてみないかと誘われてきました。

 

そういった経緯からゲームの指導はしていましたが、ゲーム以外の日常生活の指導をするのは初めてで、まだ難しいです。今回も長期の外泊なので、時に厳しく、時に優しく、羽を伸ばしすぎないように、でも委縮し過ぎないように、体調やメンタルを崩さないように気を配りながら活動しています。

 

先ほども話した通り、生徒たちは意外と指示しなくても動いてくれますし、わからないことがあれば積極的に聞きに来てくれるなど、モチベーションが高いので安心して引率できます。大きいイベントは初めてで緊張もありましたが、楽しくやらせてもらっています。

 

ビジネスデーと一般公開日の違いから得た気付き

 

── 職業体験で楽しみながら学ぶことができたなら、何よりです。ビジネスデーから通しで東京ゲームショウに参加してみていかがでしたか。

 

片山さん

私は東京ゲームショウは2回目なのですが、ビジネスデーは初めて来ました。一般公開日と通しで参加すると、人の多さが全く違うことがよくわかりました。今回は規模が過去最大ということもあって、ビジネスデーでも前回の一般公開日くらい人がいて驚きました。それぞれの日程で注目の集まるタイトルが違うことが印象的でした。

 

個人的にはデバイス周りが好きなので、「ふもっふのおみせ」のブースに行きました。「Yuki Aim」とのコラボキーボードの先行の展示があって、最新の要素を取り入れたものが出るということで見に行ったら、デザインもよくてもっと興味がわきました。こうしたまだ世に出ていない新しいものを見て、触れることができるのは東京ゲームショウならではの楽しみだと思います。

 

 

高木さん

はじめて招いていただいたので、ビジネスデーでも人が多いと感じていましたが、一般公開日はさらに多くて、歩くのもしんどいです。あと、海外からいらっしゃった方が多いとも感じました。

 

ビジネスの面では、ブースの前にキレイな人が立って広告や宣伝をしている場面が印象的でした。例えばキレイな女性がノベルティなどを配りながら、イベントや試遊を呼び掛けているんです。素晴らしい商品やサービスがあっても見てもらわないと意味がないので、まず目を引くというのは大切だと感じました。

 

築山さん

はじめて来て、ビジネスデーと一般公開日で来場者への接し方が違うんだなと勉強になりました。あとは、年齢や性別問わず、ゲームが好きな人がこんなにいるんだなと実感して嬉しくなりました。

 

印象に残ったのは、Googleのスタンプラリーです。人の配置が上手だなと思いました。複数個所にブースがあり、スタッフの方が巡回し合っていて、ほかでは見ない采配でした。人気ゲームの試遊ブースでも、ほかのブースや通行人に迷惑をかけないよう、キレイに整理している点もすごかったです。その場、その場に適した人数で回している点は勉強になりました。

 

佐倉先生

東京ゲームショウには小さいころから憧れがありましたが、ゲームファンの熱狂を生で味わったら圧倒されました。ビジネスデーでも人が多くて、一般公開日はどうなることかと心配していました。

 

展示については、企業ごとに特色がありますね。各企業とも、工夫した演出やマーケティングがあって、見ていて勉強になりました。私もGoogleやモンスターなど、スタンプラリーや複数個所にブースを構える企業が印象に残りました。見る機会が多いと覚えますし、特典があるとついつい参加してしまうといった点が上手ですね。

 

築山さん

あと私たちが職業体験として参加したASUSのブースは、ほかにはないブースの出展方法でした。これまでで一番、端末の展示数が多いそうです。ほかのデバイスメーカーは意外とデバイスを展示するスペースが小規模で、イベントスペースなどが主になっていますが、ASUSは全力でデバイスを展示しています。展示方法も工夫されていて、来場者が自ら整列して順番待ちをするなど、自然と人の流れをつくるブースづくりが参考になりました。

 

 

── ASUSブースのなかでは気になった製品などありまでしょうか。やはり先日、発売早々に品切れが続出したハンドヘルドゲーミングPCの「ROG Ally」?

 

築山さん

ROG Allyは、PCゲームに触れてみたいと考えている人にとって素晴らしいデバイスだと思います。私たちのようヘビーなPCゲームユーザーが注目したのは別のデバイスでした。

 

 

── というと?

 

一同

EVANGELIONコラボのアスカモデルが欲しいです。

 

片山さん

あれを学校においてほしいですね。

 

 

── 1台100万円を超えそうなので、とんでもない費用になりそうです。職業体験以外にもいろいろな体験があったということで、もう一度来ることができるチャンスがあれば参加しますか。

 

一同

来ます!

 

髙木さん

岡山ビジネスカレッジに入ってよかったです。

 

 

── 後輩にも伝えてあげてください。本日はありがとうございました。

 

代えがたい体験

 

出展社数が過去最多となり、歴代最大規模での開催となった東京ゲームショウ2023。リアルの来場者数は4日間で総計24万3238人で、単純に4日間で割っても1日あたり約6万人が来場したことになる。コロナ禍における“巣ごもり需要”で醸成されたゲーム愛好家の熱を、肌で感じることができるイベントだった。会場となった幕張メッセはファンたちの愛で温められ、熱気に包まれていたと思う。実際、着ていたジャケットにまで汗染みができるほど暑かった。

 

職業体験に挑んだ3人はそんな暑さにも負けず、「苦労と思うようなことはありません」「むしろ苦労も楽しい」と言い切る。数万人のゲーム好きが集まって創り出された独特な雰囲気に気持ちを高ぶらせながらも、自らの仕事がそれを支えているという自覚を持って、冷静に、そして着実に、任された作業に取り組んでいた。自由行動の時間もただ遊び歩くのではなく、ブースごとの特色ある展示や接客対応から学びを得ている姿は、正しく“職業体験”だ。

 

今回参加した3人は、ゲームを自らプレーすることはもちろん、大会や配信を見ることも大好き。岡山ビジネスカレッジのeスポーツビジネス学科に進み、eスポーツに関わる仕事をしたいと話す姿勢には、普段楽しませてもらっているからこその恩返しや、もっと多くの人に楽しんでもらいたいという想いが現れている。

 

職業体験や学校、日常生活、趣味で学んだことが実を結び、将来、イベントや大会の会場で3人の姿を見る機会があるかもしれない。運営なのか、選手なのか、感動を伝える立場なのか、観客なのか。どのような形で出会うことになるのかまだわからないが、eスポーツを通じて成長した姿を見るのが、今から楽しみだ。